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2021.04.01 お客さまの声

「診断ではなく判断」 〜 mirucoの画像も踏まえた現場のディスカッション 〜

オレンジホームケアクリニック

紅谷 浩之 先生

目次
  • 「診断ではなく判断」 〜mirucoの画像も踏まえた現場のディスカッション〜
  • 共に考えるためのコミュニケーションツールとして

【「診断ではなく判断」 〜mirucoの画像も踏まえた現場のディスカッション〜】

インタビュー動画(約6分)

■「miruco」を使い始めたきっかけ

「miruco」を導入する以前から在宅医療でも使えるハンディタイプのエコーの存在は知っていたのですが、「在宅の現場で、どこまでエコーで突き詰めた診断をするべきか?」という設定が難しいと感じていたため、当クリニックでは導入していませんでした。しかし、「miruco」のコンセプトが「診断するのではなく“判断”のための道具であり、在宅の現場でコミュニケーションを増やすことを目指す」と聞き、これなら環境が整った病院で、医師が厳密な診断を行うのではなく、在宅の雰囲気やご家族も含めたコミュニケーションの輪の中にマッチする道具として利用できると考え「使ってみたい」と思うようになりました。

■「miruco」の活用方法について

 「miruco」のコンセプトである「“診断”ではなく“判断”」、そして「コミュニケーションの活性化のために使われる」というところが、とても大事だと思っています。そのため、導入直後から看護師に積極的に使うよう促しています。「現場で見えてくる様々な情報の一つとしてエコーの画像が加わった」という認識で、訪問看護から戻ってきた看護師と、あるいは訪問の現場にいる看護師と、一緒に画像を見ながらディスカッションをする、というところから使い始めました。すると、これまでよりも非常に情報量が増えたことで、診断ではなく、どのように判断して処置していくか、というところに柔軟性が生まれました。現場における看護師の自由度が向上したという印象です。

また、ご家族にもエコーの画像を見てもらうなど、家族とのコミュニケーションツールとしても活用しています。在宅の現場で看護師が判断していく上で「確実な診断ではないかもしれませんが、この画像からこのような判断ができますので、このように経過を追いましょう」という説明がとてもしやすくなりました。

■「miruco」の使用による変化について①

例えば「miruco」が活用される最も多いシチュエーションとして、導尿の判断があげられます。「miruco」が無い状況では膀胱の中が確認できないため、どうしても後付けの判断になっていました。所見症状から「おそらくこうであろう」と推測し、とりあえず導尿してみて「その結果こうだった」というケースです。しかし、「miruco」を使い始めてからは、導尿前の段階で画像を見ることで導尿の必要性の有無を判断できるようになりました。所見症状に加えて画像が加わったことにより、確信を持って判断した上でディスカッションできるようになったのです。さらに、「画像を踏まえて処置を実施した結果こうなった」、という経験が蓄積されていくことで、起こっている状況から判断できる度合いが着実に上がってきた、という印象があります。

後は、現場ではどちらとも判断がつかず、導尿してみないと分からないといった環境でも、医師と看護師が一緒にエコーを当てて「これはこうだね」という話ができるようになったので、処置を行う看護師も安心できるようになりました。やはり医療従事者は、なるべく患者さんに負担をかけたくない、と思っていますから、患者さんへの負担が少ないという意味で、とても安心できる時間が増えました。そうすることで、患者さんとのコミュニケーションも非常に良くなったと感じています。

■「miruco」の使用による変化について②

「miruco」を活用するためのスタッフとのミーティングについてですが、最初はどうしても画像を扱っていると、膀胱であれば、どれくらい尿が溜まっているか、あるいは前回よりも少し量が多いのではないか、などという議論に看護師達は陥りがちです。しかし「miruco」を使う意義は、尿の量ではなく、導尿が必要なのか、必要ないのか、という判断をしながら、その情報を共有したり話し合ったりすることにこそあると考えています。

そのため、当クリニックのミーティングは、尿量にフォーカスするといった、病院で行うような診断を突き詰めるカンファレンスを目指すのではなく、画像での判断によって患者さんの気持ちが楽になったり、ご家族が説明を聞いて安心したりというところに結びつけられるような内容を心がけています。在宅医療では、患者さんのその日の顔色や血圧、体調、次回訪問までの過ごし方などが非常に重要です。ですから、患者さんとの会話の中で「このような状況なので安心ですね」「こういう点は気をつけましょうね」といったコミュニケーションを行うツールとして「miruco」を活用していきたい。こういったことを意識しながらミーティングを行っています。

【共に考えるためのコミュニケーションツールとして】

インタビュー動画(約5分)

■「miruco」の使用に関する今後の展望

「miruco」はコミュニケーションツールとして活用する、という点がとても大事だと思っています。例えば、ご家族とお話しする上でも画像を見ながら説明することで、納得、理解していただけることも少なくありません。おそらく、画像から受けるインスピレーションなのだと思いますが、ご家族がいつも見ている体調の変化に「miruco」の画像が加わることで、皆さんが安心できたり納得できたりするのだと思います。逆に、ご家族が思う感情的、感覚的な見立てと画像が合わないときでも、(在宅医療ではこのようなことは良くあることなので)判断を突き詰めていくのではなく、状況には幅があり「今は判断に悩む時期である」ということを共有できるだけでも「miruco」を使う意味があると思います。そうすることで、「こっちはこう思う」「私は違うと思う」と言って決裂するのではなく、今は何とも言えない時期だから「ここだけは気をつけましょう」「明日もう一度来て見てみましょう」とコミュニケーションをつなげていくことができるようになります。このように、医療従事者だけでなく、ご家族や患者さん本人も巻き込んでいくような使い方ができれば良いと考えています。

■ 在宅医療における「miruco」の利点

当初、在宅医療は「通院困難な方に、病院から医療を出前のように届ける」ということがやむを得ないコンセプトだったかもしれません。しかし、これからの在宅医療は、生活のスペースで医療を提供するということを、より深く意識していかなければならない時代になってきていると思います。そういう意味で医師は、病院では診断をして治療方針を明確にと決めることが重要であっても、在宅でははっきりしない部分も含めて、患者さんやご家族と情報を共有しながら一緒に悩んでいくといったスタンスが必要だと思います。

看護師も同じで、決められた処置を確実に実施することだけが目的ではなく、患者さんと話し合いをした中で、時には今日実施するはずだった処置を実施しないことにして、他のことを一緒に話したり考えたりする、といったことも必要だと考えています。従来のエコーは“しっかり診断しないといけない”というプレッシャーを使用する人に与えていたかもしれませんが、「miruco」は一緒に考えるための一つの道具という印象なので、これからの在宅医療のスタンスに非常にマッチしていると思います。よく「道具に振り回される」という言葉を聞きますが、新しい道具を手に入れたばっかりに使いこなせず振り回されるといった経験は誰にでもあるのではないでしょうか。特に、在宅医療の現場は、下手にいろいろな道具を装備すると振り回されやすい環境にあるのですが、「miruco」は非常にシンプルな機器なのでそのようなことはなく、生活の中で行う医療にマッチした道具であると思います。今までは、このようなツールは体温計や血圧計くらいでしたが、「miruco」というツールが増えたことはとても面白いと思うので、様々な現場で使っていき情報を共有していきたいと考えています。

■「miruco」の改善して欲しい点について

当クリニックではiPadをスタッフ同士の情報共有ツールとして使っていますが、画像データを「miruco」からiPadに取り込むのに少し手間がかかっています。これがクラウドなども含めていろいろな形でスムーズに共有できるようになると、とても良いと思います。そうなれば遠くない未来には、患者さんやご家族も「miruco」を持つようになって、互いに画像を見せ合いながらディスカッションするような時代が来ると思います。

※ご所属・役職等はインタビュー当時のものとなりますのでご了承ください。


「住み慣れた場所で幸せに自分らしく生きて行く」ことをサポート

オレンジホームケアクリニックは複数医師による24時間365日の診療体制を持った福井県最初の在宅医療専門クリニックです。在宅医療を通して「住み慣れた場所で幸せに自分らしく生きて行く」ことをサポートしています。
スタッフは約60人で、医師や看護師以外に、社会福祉士や保育士、臨床宗教師など幅広い職種が連携して、年齢や疾患を問わず、地域で暮らす様々な方たちと向き合っています。
在宅医療のニーズが増す中、「Be Happy!」を合言葉に、既存の制度や枠組みを超えて、地域づくりの視点から新たなチャレンジを続けています。

(取材協力:オレンジホームケアクリニック)